米ニューヨークのオークションハウス、サザビーズにて、6700万年前のティラノサウルス・レックス(T. rex)化石「Gus」が14日、5010万米ドルで落札された。これは過去にオークションで取引された恐竜骨格の最高額を更新する記録的な価格である。匿名の購入者による10分間の激しい入札合戦の末に決定し、市場における希少化石への需要の高まりを如実に示している。
南ダコタ州の牧場で2021年に発掘された本化石は、全長約11.5メートル、高さ約3.8メートルと発見されたT. rexの中で最大級の一つに数えられる。骨格の約61〜63%が保存されており、強力な歯を並べる顎骨や希少な後肢骨、さらに胸骨など、183個の化石から構成される。サザビーズのバイスチェア、キャッサンダ・ハットン氏は「優れた状態の標本は市場から高く評価される」と指摘。過去最高記録だった2024年のステゴサウルス「Apex」や、2020年のT. rex「Stan」を大きく上回る価格形成となった。
一方、科学界からは公共機関への展示を求める声も上がっている。脊椎動物古生物学協会は、学術的に価値の高い化石は将来の世代のために博物館や研究機関で公開・保存されるべきだと主張。同協会のクリスティ・カリー・ロジャーズ氏は、新たな所有者が自然史博物館などへ寄贈し、科学研究の継続に貢献することを期待すると表明している。米国では化石が私有財産として扱われる唯一の国であり、市場流通が活発な背景があるが、学術的価値と商業的価値のバランスをどう維持するかが今後の課題となる。