北米で開催される2026年FIFAワールドカップが目前に迫る中、主催団体と各国代表チームが最終的な調整を進めている。イラン代表選手の米国入国ビザ問題が解決し、観客向けの水筒持ち込みルールが変更されたほか、レオ・メッシやクリスティアノ・ロナウドといったベテランスターが公式練習に合流するなど、大会開催に向けた動きが加速している。
外交・政治的な懸念が高まっていたイラン代表のビザ問題は、トルコ駐在米国大使のトム・バロック氏によって解決が確認された。両国の軍事緊張が続く状況にあるが、選手らはメキシコのティフアナをベースキャンプとして活用し、米国での試合日に移動する予定である。また、FIFAは当初、観客への水筒持ち込みを安全上の理由で禁止していたが、政治家や保健当局者からの批判を受けて方針を転換した。FIFA最高経営責任者(COO)のヘイモ・シルギ氏によると、米国およびカナダ開催の試合では、1本あたりの容量が590ミリリットル以下の軟質プラスチック製で工場封鎖された飲料水ボトルの持ち込みが許可されることになった。
競技場内の準備においても、選手たちのコンディション管理と精神面の保護が重視されている。守備王者アルゼンチンのリオネル・スカローニ監督は、左ハムストリングスに負傷を抱えるレオ・メッシの回復状況を明かし、親善試合での出場可能性を示唆した。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドも、自身6度目のワールドカップ出場に備えて練習に合流している。さらに、FIFAはソーシャルメディア上の選手向け虐待メッセージを削減するため、AIを活用したコンテンツフィルタリング技術を大会全体で拡大導入する。この技術は、選手らがオンライン上の差別的・攻撃的なコメントから保護され、メンタルヘルスを維持する役割を果たす。
これらの政策変更と準備作業は、地政学的緊張や気候条件が複雑に絡む中で、世界的なスポーツイベントをいかに安全かつ円滑に運営するかという課題への対応を示している。6月11日に開幕する今大会は、各国の代表チームが実力と準備を競う舞台となるほか、開催側のインフラ整備と安全対策の成否が問われる重要な機会となる。