米イラン両政府は、2月28日に始まった中東紛争を終結させるための覚書(MoU)の正式調印を、6月19日にスイスのブルゲンシュトックリゾートで実施すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領は、合意によりホルムズ海峡が「完全に開放」され、イランが即座に石油販売を開始できると表明。60日間の最終協議期間に入り、核問題と制裁解除が焦点となる。
調印にはトランプ大統領とJDヴァンス副大統領、イランの最高交渉責任者モハンマド・バゲル・ガリーバフ議会議長らが立ち会う。合意の骨子として、イランは核兵器保有を放棄し、濃縮ウランの中性化と海峡の自由航行を保証する条件付きで、石油輸出に関する米国の制裁免除が即時発効する。一方、イラン側はレバノンを含む全戦線での戦闘終了を合意の不可欠な部分と位置づけ、イスラエルの撤退を求めている。しかし、CIAのジョン・ラットクリフ長官は、イランが核譲歩を実行する意志に深刻な疑念を抱いていると内部で警告している。
パキスタンとカタールが仲介役を務め、交渉の舞台を提供した。G7首脳会議(フランス・エヴィアン)では、ウクライナ情勢も議論され、ロシアへの圧力強化と制裁対象の拡大で一致。ウラジーミル・ゼレンスキー大統領はウラジーミル・プーチン大統領との直接会談を模索するも、ロシア側は消極的だ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル軍がレバノン南部に「必要な期間」留まる方針を示し、イラン支援のヒズボラとの対立も合意の履行に課題を残している。
合意の発表を受け、国際市場では原油価格が1バレル80ドルを割り込み、市場の楽観姿勢が反映された。ただし、物流の正常化や保険・航路の安全確保には時間がかかるとの見方が強く、完全な平常運転への復帰には不透明感が残る。中東地域では、戦火の鎮静化が地域経済の再生とエネルギー供給の安定に直結する一方、核合意の成否がイランと米国の関係、および中東の安全保障構造を再定義する重要な分岐点となる。