中東地域における米イラン間の緊張激化と紅海での攻撃が、全球のエネルギー市場と金融環境に深刻な影響を与えている。原油価格は1バレル100ドルを突破し、航空燃料費の高騰やインフレ懸念が各国の市場・政策を揺るがしている。
国際航空運送協会(IATA)のデータによると、世界のジェット燃料平均価格は7月第3週に1バレル149.40米ドルまで上昇した。これを受け、キャセイパシフィック航空は8月1日より旅客・貨物燃料料金を最大41%引き上げる方針を発表した。ブラジル政府も航空会社の燃料費負担を軽減するため、80億レアル(約16億米ドル)の信用枠を新設する暫定措置を講じた。市場ではリスク回避姿勢が強まり、韓国・ソウル証券は約6%下落した。機関投資家と外国人は純売り越しとなり、半導体大手サムスン電子やSKハイニックス、現代自動車などの株価が下落した。一方、マレーシアのウェストポートホールディングスは、衝突の影響を既に織り込み済みとし、電気トラック60台の導入による燃料消費削減でコストを管理する方針を示した。アナリストは買いを維持し、情勢安定化を期待している。
インフレ抑制と金融政策の面でも対応が迫られている。南アフリカ準備銀行(SARB)はインフレ懸念を背景に政策金利を7%で据え置いた。オーストラリアや英国では住宅ローン金利が上昇し、南アフリカではJSE総合指数が1.2%低下した。韓国財務大臣の具雲哲氏は、消費者物価指数が6月に前年比3.2%上昇したと指摘し、価格安定法改正や関税割当制度の拡大など、インフレ抑制に向けた対策を強化すると表明した。オーストラリアの自動車協会(NRMA)も、パニック買いを警告し、小売物価や輸送コストの上昇が家庭予算や産業に深刻な影響を与えると指摘した。また、レバノンではヒズボラの行動が地域紛争を深化させ、民間人の犠牲が拡大しているとの指摘もある。
中東の紛争がハルムズ海峡などの重要航路を脅かす中、原油高は全球のサプライチェーンとインフレ期待を直撃している。中央銀行の利下げ観測が後退し、企業コストと家計負担が増大する中、市場は政策当局の動向と情勢の推移を慎重に見守っている。