イランとイスラエルが6月8日、4月8日の休戦合意以来初めて直接の軍事交戦を行い、中東地域の緊張が再び高まっている。イランがイスラエル国内へ弾道ミサイルを打ち込み、これに対しイスラエル軍がイラン西部・中部の軍事施設や化学コンビナートへ空爆を仕掛けた。トランプ米大統領は即時停戦を呼びかけつつも、和平交渉への影響はないと強調するも、地域の安全保障環境は極めて不透明な状況に陥っている。
イラン革命衛隊は、イスラエル軍によるベイルート南郊のヒズボラ関連施設への空爆に対する「警告」として約30発の弾道ミサイルを発射したと発表。イスラエル軍はこれに対し、テヘランやイスファハン、タブリーズなどでの爆発を報じるイラン国営テレビの映像を踏まえ、空対地弾道ミサイルを用いて軍事目標や防空システムを攻撃したと明らかにした。トランプ大統領はネタニヤフ首相と電話会談し報復の自制を求めたものの、イスラエル側は攻撃を強行。米国務省や英仏独の外交当局も即時の沈静化を促す声明を出している。
この軍事衝突の再発は、世界経済への打撃が懸念されている。イランによるホルムズ海峡封鎖の脅威が再燃し、国際的な原油価格が1バレル95ドル台前半まで急騰。同時に、中東リスクと米国の雇用統計を背景とした利上げ懸念が重なり、アジアの株式市場は大幅に下落した。休戦合意の崩壊は、米イラン間の和平交渉をさらに遠のかせ、中東全域に広がる代理戦争の全面化を招く恐れがある。