中国の習近平国家主席は8日、平壌を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談に臨んだ。2019年以来となる今回の訪問は、北朝鮮との戦略的協調を再確認するとともに、ウクライナ戦争で軍事協力を進めるロシアとの関係強化に揺れる平壌への影響力維持を目的としている。習主席は到着後、北朝鮮の公式紙に寄稿し、両国の絆は時代や国際情勢の変化に左右されない不敗のものと強調し、覇権主義や軍国主義の復活に反対する姿勢を示した。
会談の背景には、北朝鮮の核開発が依然として進展している現実がある。キム・ヨジョン国務委員会副部長は習主席の到着前日、北朝鮮の核兵器保有状態は交渉の余地がないと明言し、米国による非核化要求を退けた。一方、李在明韓国大統領は同日の記者会見で、北朝鮮の核・ミサイル開発は長期的な目標として追求する必要があるとしつつ、自国の核武装は地域のパズルを招くとして否定した。米国側は、習主席とトランプ米大統領が北京で会談した際、北朝鮮の非核化を共通目標として確認したと発表している。中国は国連安保理決議の完全実施を優先事項としていないとの分析もあり、平壌は対米外交の足場固めを図ると同時に、米国の対北朝鮮外交をけん制する狙いがあるとみられている。
今回の訪北は、北京でトランプ米大統領とプーチン露大統領と相次いで会談した習主席の外交戦略の一環として位置づけられる。北朝鮮はウクライナ侵攻に対するロシアの支援として兵士や弾薬を供与しており、中国はロシアの影響力拡大を警戒しつつも、地域安定の観点から平壌との関係強化を急ぐ姿勢だ。この首脳会談の結果は、東アジアの安全保障環境や対北朝鮮制裁の行方、そして米中露の外交競争に大きな影響を与えることになる。