2026年FIFAワールドカップ(W杯)が間もなく開幕する中、共催国のアメリカとイラン代表の間のビザ問題を巡る外交対立が激化している。米政府は選手らの入国ビザを発行したものの、サッカー連盟幹部ら15人以上の行政・執行スタッフのビザを拒否したことが発覚し、イラン側は「差別的扱い」と強く反発している。中東情勢の緊張と重なり、スポーツの平和的祭典が政治的摩擦に巻き込まれる複雑な状況が浮上している。
イラン駐トルコ大使館はX上で、選手だけでなく技術アドバイザーや執行スタッフなどナショナルチームに不可欠な多数のスタッフがビザを拒否された点を指摘。米国の対応を「スポーツにおける政治干渉の最悪形態」と非難し、FIFAに対し責任追及を求めている。米国のトルコ特使トム・バラック氏は選手らのビザ処理を称賛したが、米政府は革命防衛隊(IRGC)関連者の入国を厳しく制限しており、イランサッカー連盟のメフディ・タージ会長が元IRGC関係者である点も懸念材料となっている。
両国の関係は今年2月末に米国とイスラエルがイランに軍事行動を開始して以降、深刻化している。4月8日の停戦合意も崩壊の危機にあり、イラン代表は当初予定だった米アリゾナ州から、国境の町ティフアナ(メキシコ)へキャンプ地を移転した。グループステージの全3試合は米国内で開催される。一方、南米勢でもアルゼンチン代表のレオナルド・バルエルディ選手が右ふくらはぎの筋肉損傷によりW杯出場を辞退。スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督は「優勝候補の称号は保証にはならない」と警戒感を示すなど、各国の準備状況にも注目が集まっている。
W杯は北米3か国で48か国・104試合が開催される史上最大規模の大会となる予定だが、米国の厳格な入国管理や高額なチケット価格、ホテル需要の低下などが観客動員に影を落としている。イラン代表の渡米ビザ問題は、スポーツの本来の意義を揺るがす政治的摩擦として、開幕前から国際社会の注目を集めている。