ロシア軍は18日夜から19日未明にかけて、ウクライナ首都キエフに対し、開戦以来最大級とされる弾道ミサイルによる大規模な攻撃を実施した。ウクライナ空軍によると、弾道ミサイルや高超音速ミサイル、無人機を合わせて多数が首都に向け発射され、住宅や商業施設、地下鉄駅周辺に被害が広がった。攻撃では少なくとも1人が死亡し、16人以上が負傷した。ゼレンスキー大統領は「弾道ミサイルからの防護が現在、最優先課題」と強調し、迎撃ミサイルの早期供給を国際社会に求め続けている。
キエフ市によると、住宅棟、倉庫、スーパーマーケット、学生寮などが損傷し、地下通路が破壊された。市内では多数の建物が焼失し、緊急部隊が消火・救助活動に当たっている。首都攻撃と同日、東部ハルキウでは郵便物流センターへの攻撃で4人が死亡、19人が負傷した。南部オデッサでは遊園地への攻撃で10代の少年が死亡し、12人が負傷した。また黒海では、トルコ系企業が所有しギニアビサウ旗を掲げる穀物運搬船「ゴールデン・レオ」がロシアの巡航ミサイル攻撃を受け、5人が死亡、5人が行方不明となっている。
ウクライナ側も反撃を継続し、ロシア領内にある物流施設や石油備蓄施設への無人機攻撃を実施した。モスクワ州とタンボウ州のオンライン小売大手ウィルドベリーズの倉庫が攻撃を受け、火災が発生した。ゼレンスキー大統領はこれらを軍事物資供給のための施設と位置づけ、制裁効果の発現を強調した。さらにスタヴロポリ地方の石油備蓄施設や占領下のクリミア、ルガンスク地方でも標的への攻撃が行われた。
激化する戦況の一方で、ウクライナ国内では軍部人事を巡る政治的混乱も表面化している。ゼレンスキー大統領は6か月前に就任したフェドロフ国防相を突然解任し、軍総司令官スィルスキイ大将との対立が背景にあると報じられている。これに対し、キエフをはじめ各地で3日連続で大規模な抗議デモが発生。フェドロフ氏の復職とスィルスキイ大将の更迭を求めている。ゼレンスキー大統領はデモ隊の声を聞いていると表明し、軍部に関する決定を検討中だと語ったが、海軍司令官や空挺軍司令官らは戦時中に軍への疑念を許容できないと述べ、スィルスキイ大将を支持する立場を示した。
迎撃ミサイルの深刻な不足が課題となっている中、米国はウクライナへのパトリオット迎撃ミサイルのライセンス生産を認める方向で調整中だが、具体的な生産開始時期は未定である。ロシアの弾道ミサイル攻撃が頻発する中、ウクライナは防空体制の強化と対ロシア制裁の継続を国際社会に強く要請している。国内の政治的緊張と防空網の脆弱さが重なる中、ウクライナ政府は戦時下の国防体制と政治的安定の両立を迫られる情勢が続く。