フランス・エヴィアン=レバンで開催されたG7首脳会議において、首脳らは米イラン間の暫定合意を「歴史的な機会」として歓迎したが、レバノンにおける完全な停戦とイランの核プログラムをめぐる60日間の最終交渉の行方について慎重な姿勢を示した。ドナルド・トランプ米大統領は会議終了後の記者会見で、合意文書は最終決定ではなく「覚書」に過ぎず、イランが合意に従わなければ軍事行動を再開する可能性があると警告した。
合意の骨子は、全戦線(レバノンを含む)での即時かつ恒久的な軍事行動の停止、米国の海上封鎖解除、ホルムズ海峡の通航再開、そして60日以内の最終合意に向けた交渉の開始である。これに伴い、イランへの制裁解除と3000億ドル規模の再建基金の創設が検討される一方、イランは核兵器の開発を恒久的に放棄することを再確認し、濃縮ウランの現状維持が合意された。トランプ大統領は「市場はこれを歓迎しており、世界大恐慌を防ぐものだ」と強調したが、合意の具体的な文言は依然として非公開であり、議会や国内外から慎重な検証が求められている。
合意がもたらした最大の課題は、イスラエルの対応とレバノン情勢である。イスラエル政府は合意に反対し、南レバノンへの軍事作戦を継続。トランプ大統領はネタニヤフ首相に対し「レバノンでの対応にはより慎重さが求められる」と批判し、ヒズボラの武装解除とレバノン主権の尊重をG7が強く求めた。イラン側はイスラエルの即時撤退を合意の必須条件と位置づけており、現地の緊張緩和には依然として課題が残っている。
この暫定合意は、中東地域の地政学的な転換点となり得る一方、その実効性はイランの行動とイスラエルの対応、そして60日間の交渉の成否に直結する。合意が最終的な平和合意へと発展すれば、エネルギー市場の安定と地域経済の回復が期待できるが、交渉が頓挫した場合、再燃する軍事衝突と世界的な経済混乱を招くリスクも看過できない。首脳らは合意の実施を支援する意向を示したが、その裏にある多国間の利害調整と、長引く紛争の終結に向けた持続的な外交努力が問われている。