米軍は27日、パナマ船籍のタンカーがドローン攻撃を受けたことを受け、イラン南部およびホルムズ海峡周辺で新たな軍事攻撃を実施した。これは両国が先週合意した暫定和平合意の締結以来、最悪の軍事衝突であり、交戦両陣営は互いに停戦合意違反を非難し合っている。
米中央軍(セントコム)の発表によれば、米軍はイランの軍事監視インフラ、通信システム、防空施設、ドローン保管施設、機雷敷設能力を標的とした。ドナルド・トランプ米大統領はSNS「Truth Social」で、イランが停戦合意を継続して違反すれば、米国が「合理的な対応」を諦め軍事行動を完了せざるを得なくなる可能性があると警告。その上で「イスラム共和国は存在しなくなる」と述べた。これに対し、イラン革命防衛隊は米軍関連施設への攻撃を正当化し、クウェートとバーレーンにある米軍基地に対しミサイルとドローンによる報復攻撃を実施。バーレーンでは防空警報が発令され、住民に避難が呼びかけられた。JDヴァンス副大統領は「暴力には暴力で応じる」との声明を出し、対話による解決を促しつつも強硬姿勢を維持した。
同時多発的に中東の地政学的緊張も高まっている。イスラエルとレバノンが米国の仲介で枠組み合意を締結したものの、ヒズボラの指導者ナイム・カッサームはこれを「主権の放棄」として拒否し、「無効」と宣言。ベイルートでは支持派による抗議活動が勃発した。海上交通面では、国際海事機関(IMO)が船舶攻撃を理由に海員避難作戦を一時停止。ホルムズ海峡の通行ルート管理を巡り、イランは自国承認ルートを主張する一方、米国とオマーンは沿岸部の南側ルートを活用する方針で対立が続く。
一連の軍事交換と外交的摩擦は、60日間の覚書に基づく交渉プロセスの脆弱性を浮き彫りにしている。船舶通行の再開により原油価格が一時的に下落したものの、海峡の封鎖リスクと保険コストの上昇は依然として深刻だ。停戦合意の履行が互いの不信感によって崩れつつある現状は、中東地域全体の安定を脅かし、国際的なエネルギー供給網への悪影響を拡大させる可能性が高い。外交的解決の道筋が閉ざされつつある中、各国の警戒と外交努力が試されている。