米西海岸の都市アーケディアの元市長が中国政府の違法代理人活動で有罪を認めたことを皮切りに、シンガポールの大学生が女子寮での盗撮未遂で起訴され、カナダでは自殺幇助の疑いで起訴された男が裁判で有罪を認める見通しとなった。各国の法廷で進行中の一連の事件は、越境する違法行為やサイバー空間を介した犯罪への司法対応が各国で加速している現状を浮き彫りにしている。
米連邦検察当局によると、56歳のアイリーン・ワン前市長は、中国当局の意向に沿って北京に有利な記事を共有する違法行為に対し、有罪を認めた。同市長は2022年11月に市議会議員に選出され、ローテーション方式で市長に就任していた。検察側は違法行為が2020年末から2022年にかけて行われたと指摘する一方、市側と弁護側は就任前に終了していたと主張している。ロサンゼルス中心部の連邦裁判所で行われた法廷手続きでは、ウェスリー・フー地区裁判官が権利と結果の理解を確認し、中国語通訳が同席したが、ワン氏は通訳の支援を拒否した。アーケディア市はロサンゼルスから約21キロ北東に位置し、人口約5万3千人の住民の過半数がアジア系で、特に中国系住民の集中度が高い都市である。
一方、シンガポールでは25歳の南洋理工大学(NTU)航空宇宙工学3年生のホウ・ジョンティン容疑者が、刑事侵入および盗撮未遂の罪で有罪を認めた。ホウ容疑者は2025年5月、住居費の支払いに困窮していたことから、オンライン広告で提示された金銭と引き換えに盗撮映像を撮ろうとした。女子専用区域へのアクセス制限を承知の上で、故障したゲートを通過して進入を試みたが、トイレの扉操作に失敗し盗撮は実現しなかった。5月6日にも同様の行為を試みたが、寮の管理者に逮捕され、5月7日に警察に連行された。テレンス・テイ地区裁判官は、注意欠陥多動性障害(ADHD)と盗撮症等の精神医学的評価を踏まえ、強制治療命令(MTO)の適格性審査を命じた。量刑は7月15日に言い渡される予定で、刑事侵入では懲役3ヶ月または罰金1,500シンガポールドル以下、盗撮未遂では懲役2年および罰金・鞭打ち刑の適用可能性がある。
カナダでは、60歳の元料理人ケネス・ロー氏について、自殺を希望する人々に毒薬を販売・指導した疑いで14件の自殺幇助・教唆罪に問われていた。ロー氏は2023年に逮捕され、オンラインフォーラムを通じて精神的に追い詰められた人々に自殺方法を示唆していたことが発覚した。検察側は、ロー氏が14の軽微な罪状に有罪を認める見通しであるため、殺人罪の起訴を取り下げたと発表している。弁護側と被害者家族によると、自殺幇助罪は重罪であり、懲役10年から20年の量刑が検討される可能性がある。ダルハウジー大学法学部のロバート・カリー教授は、カナダ最高裁が殺人罪と自殺幇助罪の線引きについて明確な判断を示さなかったため、検察側が殺人罪での有罪を確定できるか疑問視していると指摘した。
各事件で被害者家族や関係者の反応は複雑である。ロバート・パーフェット氏は、息子が2021年に提供された材料を用いて自殺したとして当局の対応が不十分だったと批判し、キム・プロッサー氏は裁判所の場が癒やしの新たな章の始まりであると捉えている。これらの裁判は、国境を越えた違法行為やデジタル空間を介した犯罪に対して、各国がどのように法的責任の所在を明確化し、社会の安全網を構築するかという課題を提起している。各被告の量刑確定まで、法廷手続きと精神医学的評価が引き続き注目される。