2026年FIFAワールドカップが目前に迫り、各国代表の最終メンバー発表と開催国北米3カ国による準備が本格化している。アルゼンチンのリーオ・メッシが6度目の出場を控える中、イラン代表のビザ問題やカナダ当局による詐欺警告、米国の感染症対策など、大会を巡る環境は複雑さを増している。
アルゼンチンのリオネル・スカローニ監督は38歳のメッシを主将として起用する26名名簿を公開し、2022年カタール大会優勝メンバーから17人を含む布陣を示した。一方、イラン代表の準備は国際情勢に翻弄されている。イランサッカー連盟会長のメフディ・タジュ氏は、ストライカーのサルダル・アズムーン招集計画を把握していないと明言。アズムーンは政治的な理由で当初名簿から外されていたが、副大統領の呼びかけも実現に至っていない。イランチームはビザ発給の遅れにより米国ではなくメキシコのティフアナで合宿を強行しており、パスタンイデハ駐メキシコ大使は米国が「平等な条件で大会に参加させていない」と批判した。タジュ氏はFIFAに対し複数回入国のビザ保証を求めている。
開催国側でも対策が急がれている。カナダ移民・難民・市民権局(IRCC)は、ワールドカップ関連のビザ詐欺を警戒する注意喚起を発出し、保証を謳うエージェントの存在を否定。申請者の自己責任を強調した。米国、メキシコ、カナダはまた、WHOがコンゴ民主共和国のエボラ出血熱流行を国際的な健康緊急事態と宣言したことを受け、感染リスクが高い地域からの渡航者に対する統一された検疫・入国制限措置を共同発表している。各国代表の強化試合や選手たちの準備状況は順調に進んでいるものの、ビザ問題や感染症対策が大会の円滑な運営に影を落としている。
スポーツの祭典が人類の結束を象徴する場であるはずが、現実には入国規制や地政学的な対立が選手や観客の移動を制限している。開催国と参加国が複雑な調整を余儀なくされる中で、ワールドカップが単なる競技大会を超えて、国際的な摩擦や課題を可視化する場となる可能性も指摘されている。選手たちの本番に向けた最終調整と、開催側による実務的な課題解決が、大会成功の鍵を握る。