米軍がアラビア海に面するイラン南部のミサイル基地や機雷敷設疑いのある船舶を標的とした攻撃を実施した。イラン側はこれを4月発足の脆弱な停戦合意の「重大な違反」と非難し、反撃の準備を表明している。交渉の舞台裏ではカタールで協議が続く中、軍事行動が和平交渉に与える影響が懸念されている。
米中央軍(CENTCOM)は「自衛のための攻撃」であり、イラン軍の脅威から部隊を守るためだと説明した。国務長官マルコ・ルビオ氏はインド訪問中の記者会見で、海峡の開放は「いずれ何らかの方法で実現する」と断言し、交渉には数日を要すると述べた。イラン側は海外に凍結された約240億ドルの資産解放を最大関心事としており、革命衛隊宇宙軍司令官セイェド・マジド・モサヴィ氏は決定的な応酬の準備を強調した。最高指導者モジャッバ・ハメネイ師は米国の中東からの影響力低下を宣言した。
中東情勢は同時多発的に緊迫している。イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相はレバノン南部のヒズボラ対策を強化し、ナバティエ市への退避勧告を発表した。欧州側では、ロシアがウクライナのキーウへの継続的攻撃と外国人退避勧告を表明したため、EUスポークスパーソンであるアニッタ・ヒッパー氏が「受け入れがたいエスカレーション」と非難し、ロシア大使を召還した。ウクライナ側はロシアの脅迫を「レトリック」と一蹴し、西側の支持を求めている。
軍事衝突の再燃はグローバル市場に直撃し、ブレント原油価格は前日比3%超上昇して1バレル99ドル前後まで跳ね上がった。米国消費者信頼感指数はインフレ懸念から低下し、ドル高・ユーロ安の動きが顕在化した。エネルギー供給の分断が長期化する中、主要国の経済政策やサプライチェーンへの影響が不確実性として拡大しており、外交的決着への期待と軍事リスクの狭間で世界経済は慎重な姿勢を維持している。