米軍が26日、南イランのミサイル発射施設および機雷敷設とみられる船舶を標的とした空襲を実施した。これは「自衛のための攻撃」と説明されているが、最高交渉責任者をドーハに派遣し、米国との和平合意に向けた協議が進められている最中であり、8日から続いている暫定休戦の脆弱性を浮き彫りにしている。同時に、イスラエルはイラン支援組織ヒズボラに対する攻撃をエスカレートさせ、中東情勢の行方が焦点となっている。
米中央軍(CENTCOM)のティム・ホーキンス報道官は、攻撃がイラン軍の脅威から米軍部隊を守るために行われたと述べ、休戦中でも慎重な対応を続けていると強調した。一方、イランのバグエイ外務省報道官は交渉で進展があったとしつつ、合意の締結は「差し迫ったものではない」と指摘した。ルビオ米務長官は外交を最優先すると表明し、ホルムズ海峡の開通や核問題に関する交渉が「かなり固い枠組み」にあると評価した。トランプ米大統領も交渉は順調だと評価しつつ、合意が実現しない場合は新たな攻撃の可能性を示唆した。
中東の複数の戦線が同時に緊張を強めている。ネタニヤフイスラエル首相はヒズボラを「粉砕する」と宣言し、軍事作戦の加速を命じた。これを受け、イスラエル軍はレバノン東部のベカ谷や南部の都市を標的とした一連の空襲を開始した。イスラエル政府は4月中旬に合意したレバノンとの休戦を延長しているものの、ヒズボラはこれに署名していないため、事実上の戦闘は続いている。イラン側は、米国との和平合意にレバノンでの戦闘停止条項を含めることを求めている。
交渉の行方は中東全域の安定と経済に直結する。ホルムズ海峡の通航再開や核合意が具体化すれば、世界市場のエネルギー価格高騰や供給途絶のリスクが緩和される可能性がある。一方で、イスラエルの攻撃拡大や米国の空襲が交渉を頓挫させる懸念も強まっており、関係各国の外交努力と軍事行動のバランスが問われている。和平合意の早期成立が、地域紛争の終結と経済安定の鍵を握るとの見方が強まっている。