The Morning Star Observer

2026年05月26日 火曜日夕刊 (Evening Edition)ArchiveAbout

米軍が南イランを空襲、和平交渉の最中にも緊張高まる/イスラエルもヒズボラへの攻撃エスカレート

米軍が26日、南イランのミサイル発射施設および機雷敷設とみられる船舶を標的とした空襲を実施した。これは「自衛のための攻撃」と説明されているが、最高交渉責任者をドーハに派遣し、米国との和平合意に向けた協議が進められている最中であり、8日から続いている暫定休戦の脆弱性を浮き彫りにしている。同時に、イスラエルはイラン支援組織ヒズボラに対する攻撃をエスカレートさせ、中東情勢の行方が焦点となっている。

米中央軍(CENTCOM)のティム・ホーキンス報道官は、攻撃がイラン軍の脅威から米軍部隊を守るために行われたと述べ、休戦中でも慎重な対応を続けていると強調した。一方、イランのバグエイ外務省報道官は交渉で進展があったとしつつ、合意の締結は「差し迫ったものではない」と指摘した。ルビオ米務長官は外交を最優先すると表明し、ホルムズ海峡の開通や核問題に関する交渉が「かなり固い枠組み」にあると評価した。トランプ米大統領も交渉は順調だと評価しつつ、合意が実現しない場合は新たな攻撃の可能性を示唆した。

中東の複数の戦線が同時に緊張を強めている。ネタニヤフイスラエル首相はヒズボラを「粉砕する」と宣言し、軍事作戦の加速を命じた。これを受け、イスラエル軍はレバノン東部のベカ谷や南部の都市を標的とした一連の空襲を開始した。イスラエル政府は4月中旬に合意したレバノンとの休戦を延長しているものの、ヒズボラはこれに署名していないため、事実上の戦闘は続いている。イラン側は、米国との和平合意にレバノンでの戦闘停止条項を含めることを求めている。

交渉の行方は中東全域の安定と経済に直結する。ホルムズ海峡の通航再開や核合意が具体化すれば、世界市場のエネルギー価格高騰や供給途絶のリスクが緩和される可能性がある。一方で、イスラエルの攻撃拡大や米国の空襲が交渉を頓挫させる懸念も強まっており、関係各国の外交努力と軍事行動のバランスが問われている。和平合意の早期成立が、地域紛争の終結と経済安定の鍵を握るとの見方が強まっている。

人工知能を巡る世界情勢:倫理の叫びと経済拡大の狭間で

2026年、人工知能(AI)の急速な普及を背景に、世界で技術の制御と経済効果の両立を巡る議論が激化している。バチカンのレオ14世教皇は最近公表した回勅で、AIの発展を遅らせ「バベルの塔」のような支配を避けるよう各国政府に要請した。アンスロピック共同創設者のクリス・オア氏も、企業には商業的圧力がかかる中、外部からの監視が必要だと支持を表明。倫理的・規制的な枠組みの構築が国際的な課題となっている。

一方で、経済面ではAI需要が各国の成長を牽引している。台湾のクラウドコンピューティング機器メーカーWiwynnは第1四半期収益が前年比62%増を記録し、半導体装置大手ASMLは台湾で1,000人の新規採用を計画している。中国の調査では回答者の96%が職場でAIを週に1回以上使用しており、雇用への不安は10%未満にとどまっている。シンガポールやイギリスの分析では、AIは実用的な課題解決や生産性向上に寄与しつつあり、日本の技術者もソフトウェア開発のギャップを縮めつつあると評価されている。

しかし、市場の過熱感や雇用構造への影響も無視できない。日本のケーブルメーカー「フジクラ」の株価急落はAI関連株の脆弱性を浮き彫りにし、英国小売業Nextの最高経営責任者(CEO)であるロッド・ウルソン卿は、自動化やコスト増により初級職の機会が「劇的に減少」していると警告している。専門家は、技術革新の恩恵を社会全体に定着させるためには、倫理規範の構築と労働市場の適応を両輪とした長期的な視点が不可欠だと指摘している。

米イラン和平交渉の進展と原油価格急落、トランプ氏が中東諸国への合意参加を条件付与

米イラン間の和平交渉で進展の兆しが見え、世界原油価格は約7%急落した。トランプ米大統領は交渉の妥結を条件に、中東諸国への「アブラハム合意」への参加を求めているが、イラン側は合意の即時締結を否定し、複雑な条件付けが交渉を長引かせている。

米国務省のルビオ長官はインド訪問中に、ホルムズ海峡の開放と核問題に関する限定交渉に向けた「かなり確実な内容」が提示されていると明らかにした。一方、イラン交渉チームのバグエイ報道官は、主要論点で合意に至ったものの、合意の即時締結を断言することはできないと反論。イラン側は海峡の通行料ではなく「航海サービス料」の徴収を主張し、レバノンにおけるヒズボラ関連の停戦合意も文書に盛り込むよう求めている。トランプ大統領はTruth Socialで、交渉が成功すればサウジアラビアやカタール、トルコ、エジプト、ヨルダン、パキスタンなどの加盟を義務付けるべきだと主張したが、パキスタン政府はイスラエルとの国交正常化に反対する国内のイデオロギーを理由に拒否。中東諸国もガザでの軍事作戦やパレスチナ国家樹立の条件を背景に慎重な姿勢を崩していない。

和平合意の期待で原油価格が下落したものの、米国とイスラエルによるイランへの軍事行動や海峡封鎖は継続しており、供給不足は解消されていない。合意が成立しても、インフラの修復には数ヶ月を要し、市場の混乱は長期化する可能性がある。交渉の行方が中東の安定と世界経済に直結する状況が続いている。

ジャズの巨人ソニー・ロリンズ氏死去、95歳。半世紀にわたり即興演奏の最前線を切り拓く

米ニューヨーク州ウッドストックで、ジャズテナーサックス奏者ソニー・ロリンズ氏が死去した。95歳。死因は明かされていないが、担当者は長年の健康問題により近年は自宅からほとんど外出できていなかったと明らかにしている。2014年に肺線維症により演奏活動を終えるまで、50年以上にわたりジャズの最前線で即興演奏の限界に挑戦し続けた天才として称えられてきた。

ロリンズ氏は1930年、ハーレムで音楽一家に生まれる。幼少期よりサックスに魅了され、主に独学で技術を磨いた。1940年代後半からビバップの最前線に立ち、マイルス・デイヴィスやチャールリー・パーカー、ジョン・コルトレーンらと共演。1956年のアルバム『Saxophone Colossus』はジャズ史に残る名盤と評価され、その後のキャリアの基盤を築いた。

自身の演奏に常に飽くことのないロリンズ氏は、1950年代末、自らの演奏への不満からニューヨークのウィリアムズバーグ橋の歩道で2年以上にわたり毎日14時間以上練習に明け暮れた。この期間を経て発表された1962年のアルバム『The Bridge』は、ソロ即興の新たな境地を開き、彼の名声を不動のものにした。フリージャズへの移行期にも先見性を持って対応し、ロリンズ・ストーンズのアルバム『タトゥー・ユー』への参加など、ジャズのみならずロックの分野でも影響を残した。

2001年と2006年にはグラミー賞を受賞し、晩年まで精力的にツアーを敢行。2014年を最後に演奏活動を終えたが、その後は未発表の録音を数多く残し、死後も音楽界に多大な遺産を残すこととなった。関係者はロリンズ氏を「アメリカ音楽における最も栄誉ある存在の一人」と悼んでいる。

ロリンズ氏の死は、ビバップの最後の巨匠の一人として、即興演奏の芸術性を極限まで高めることに生涯を捧げた音楽家の軌跡を総括するものとなった。その革新性と探究心は、現代のミュージシャンにも不変のインスピレーションとして受け継がれ、ウィリアムズバーグ橋の名前を彼にちなんで改名すべきだという声も上がっている。彼の残した60枚以上のアルバムと革新性は、ジャズのみならず幅広い音楽ジャンルに多大な影響を与え続け、その遺産は不滅のものとなるだろう。

政治 (Politics)

オーストラリア:腐敗防止機関長の辞任とIS関連家族帰国、ガザ船団活動家帰国で国内・国際的な議論が加速

オーストラリアで複数の重大な政治・社会課題が同時に表面化している。国家腐敗防止コミッショナーのポール・ブレットン氏が辞任し、新たな不正調査の対象となる中、IS関連家族の帰国やガザ行救援船団での活動家拘束問題が国内外で激しい議論を呼んでいる。

ブレットン氏は上院の公聴会において激しい追及を受ける見込みであり、防衛関連の未開示の継続的な関与を巡る2つ目の「職員不正」調査が進行中である。インディ選出のヘレン・ヘインズ議員は、コミッショナーへの注目が本来の腐敗防止活動の重要性を覆い隠すと批判し、透明な採用プロセスと利益相反の明確な管理を求めている。一方、IS戦闘員と関連する7人の女性と13人の子供の帰国について、Save the Childrenは歓迎の立場を示す。同団体幹部のマット・ティンラー氏は帰国を巡る政治的議論を「深く失望する」とし、子供の福祉と安全を最優先すべきだと強調。女性については到着後、テロ関連の容疑で訴追される可能性がある。

国際的には、ガザへの救援物資輸送を目的とした船団に参加しイスラエル側によって拘束されたオーストラリア人活動家らが帰国。活動家らは拖行、性的暴行、殴打などの虐待を告発し、15件以上の性的虐待事例を記録していると主張する。イスラエル刑務局はこれらの訴えを全面的に否定している。ペニー・ウォン外務長官はイスラエル側が公開した映像を「衝撃的かつ許容しがたい」と非難。国内では、ビクトリア州で警察官2人を射殺したデズィ・フリーマン事件の関連で2人が逮捕され、検視官裁判で事件の経緯が明らかにされている段階である。

これら一連の事象は、オーストラリアが腐敗防止メカニズムの信頼性、国境管理、国際的な人権・安全保障課題、そして国内治安の維持という多重の課題に直面していることを示している。政府は司法プロセスと安全保障のバランスをどう取るかが問われ、社会の関心が集中する中、政府の対応と法執行機関の透明性が国内外から厳しく監視されることになる。

国際ニュース:中国で航空宇宙エンジニアがスパイ罪で懲役15年、シンガポールで相次ぐ司法判決、カンボジアで徴兵制施行、ベネズエラで刑務所暴動

国際社会で複数の重大な出来事が報じられている。中国では航空宇宙エンジニアがスパイ活動で懲役15年の判決を受け、シンガポールでは相次ぐ司法判決により国家服務拒否や麻薬密輸、贈収賄事件が厳しく裁かれている。また、カンボジアでは隣国との国境紛争を背景に新たな徴兵制が施行され、ベネズエラでは刑務所での囚人による暴動と虐待告発が起きている。

中国国営放送CCTVの報道によれば、航空宇宙エンジニアの朱氏(Zhu)は、機密文書や資料を撮影し海外の諜報機関に送信したスパイ罪で懲役15年を言い渡された。朱氏は2018年にトップ大学で博士号を取得後、複数の航空宇宙研究機関で勤務し、国防関連の機密文書を取り扱っていた。外国諜報機関からの金銭的誘惑に屈し、59万6400元(約8万8000米ドル)を不正に得たとして、全財産の没収も命じられた。CCTVは、外国情報機関が金融的誘因を用いて機密保持要員を狙う傾向を強めていると警告し、航空宇宙産業は国家の技術的強さと国防安全の基盤であると強調した。

シンガポールでは法執行と国家義務の厳格な適用が続いている。野生動物保護シンガポール(WRS)元マネージャーのゴウ・メンクウィー(Goh Meng Kwee)氏(53)は、契約業者から20万シンガポールドル超の賄賂を受け取った汚職罪で懲役2年5か月の実刑判決を受けた。国家サービス(NS)拒否者であるエドモンド・ヤオ・ジーハイ(Edmond Yao Zhi Hai)氏(47)には、21年9か月の義務不履行に対する最高刑の懲役3年と、入国時パスポート不提示の不法入国罪で罰金3000シンガポールドルが科された。また、大麻密輸に関与した再犯者のアルガー・アウ・ウェイジュン(Alger Aw Wei Jun)氏(25)は、大麻所持・取引罪で懲役16年10か月、鞭打刑12回を言い渡された。

カンボジアでは、ハン・マネット首相が新たな徴兵制法の施行を発表した。同法は昨年発生した国境紛争を踏まえて制定され、18歳から25歳の男性に2年間の軍事服役を義務付ける。ハン・セン上院議長が国家元首として行動して署名し、前立腺がんの治療のため中国に滞在しているノロドム・シハモニ国王に代わって国家元首として行動している。平時の違反者は懲役6か月から2年、戦時または外国攻撃時は懲役2年から5年となり、僧侶、障害者、科学技術分野の専門家は免除される。

南米ベネズエラでは、バラナス州の司法収容施設で約1200人の男性囚人と100人以上の女性囚人が支配権を掌握し、虐待と拷問の告発、施設長の更迭を要求している。囚人たちはマットレスやシーツに火を付けて煙を上げ、屋根上で抗議を続けている。人道団体「ベネズエラ刑務所観測所(OVP)」は、政府が1週間以上続く苦情を無視し、催涙ガスや発砲で応答していると指摘。長年の過密状態、食料不足、医療体制の欠如、そして体系的な人権侵害が批判されてきた背景がある。

これらの事案は、各国が国家安全保障、法秩序の維持、および人道状況の改善に直面していることを示している。中国とシンガポールでは機密保護と法遵守の厳格化が進み、カンボジアでは国防体制の強化が図られている。一方、ベネズエラでは刑務環境の悪化が社会的不安を煽っており、国際的な監視と改善が求められている。各政府はこれらの課題に対し、法執行の強化または制度改革を通じて対応を迫られている。

日本が迎える安全保障の転換期:米軍ミサイル配備と対中・対フィリピン関係の深化、経済基盤の再編

2026年4月現在、日本は安全保障面と経済面において重大な転換点を迎えている。フィリピンのマルコス大統領の来日や米軍の新型ミサイル配備計画が浮上する中、中国の海洋進出への対抗軸として日米・日比防衛協力が一気に加速している。同時に、日本は対外純資産額が過去最高を記録しながらも、中国に第二位を奪われ世界第三位に転落するなど、経済基盤の構造変化も顕在化している。

フィリピンのマルコス大統領は、過去10年ぶりとなる国賓級訪問で高市首相と会談し、南シナ海における中国の威圧的行動やグレーゾーン戦術への対応を協議した。両国は既存の課題を共有しており、マルコス大統領は日本が戦後初めて致命兵器の輸出禁令を解除した新たな防衛姿勢が、東南アジア諸国にどのように貢献するかを協議する方針だ。また、航空機やミサイル、レーダーシステムなどの軍事装備品の輸入可能性について言及している。

米軍のタイフォン中距離ミサイルシステムが、来月にも鹿児島県の肝付基地に配備される見込みだ。中国の軍事アナリストは、基地が中国本土に近接しているため巡航ミサイル配備時に沿岸都市や海上航路を脅かすと警告する。一方、米軍のトマホーク巡航ミサイル約400基の引き渡しは、イランでの軍事作戦後の在庫補充作業を理由に最大2年遅れる可能性があるとの報じもあり、日本の長距離打撃能力構築計画に遅れを生じさせる懸念が出ている。これは東京の防衛野心と米国の供給能力の間にギャップが生じている可能性を示唆し、日本側がライセンス生産を通じた自国内生産の役割拡大を促す契機ともなりうる。

防衛強化の動きと並行して、日本の経済状況も変化している。財務省のデータによれば、2025年末時点の対外純資産は561兆8000億円と過去最高を記録したが、中国の636兆3000億円に抜かれ世界第三位となった。ドイツが首位を維持する中、日本の純資産増加率は相対的に鈍化しており、対外債務は株価上昇や外国資本の投資増加で10.5%拡大した。貿易黒字を背景としたドイツや中国の対外純資産増加とは対照的に、日本は国内資産の評価上昇で対外債務が膨らむ構造にある。

日米防衛協力の深化とミサイル配備の進展は、東アジアの安全保障環境を根本から変える可能性を秘めている。中国の警戒感が高まる中、日本の対外防衛姿勢はより明確な対抗軸へと進化しつつある。同時に、経済面では対外純資産の順位低下と対外債務の増加が示す通り、国内市場の成熟とグローバル資本の流入が新たな経済構造を形成している。安全保障と経済の両面で日本が直面するこれらの変化は、今後の地域秩序と国内政策の方向性を決定づける重要な転換点となる。

中国国防大臣董軍氏、シャングリラ・ダイアログを2年連続で欠席へ 低レベル代表団を派遣

中国の国防大臣である董軍氏が、シンガポールで開催される安全保障フォーラム「シャングリラ・ダイアログ」を今年も欠席する見込みである。関係者によると、2年連続の欠席となり、中国は国防相の代わりに低レベルの人民解放軍(PLA)代表団を派遣する方向で調整している。

今月開催される23回目の同フォーラムには、各国の国防相や軍首脳、外交官、軍事分析家が一堂に会し、地域安全保障の課題や二国間協議が議論される予定である。米国側では国防長官ペイトン・ヘグセット氏がインド太平洋戦略に関する演説を行うと見られる。中国国防部はコメントを拒否し、今年の代表団派遣に関する正式発表は未だ行われていない。

シャングリラ・ダイアログは長年、北京が安全保障上の立場を明確にし、他国からの懸念に答える場として機能してきた。台湾海峡や南シナ海における緊張が続く中、最高レベルの防衛関係者が直接対話の席を避ける動きは、地域安全保障対話の行方や地政学的緊張の推移に影響を与える可能性がある。

ロシア外相、米国務長官にキエフからの米国人・外交官退避を指示 重攻撃継続を通告

ロシアのラブロフ外相は、ウクライナ首都キエフに対する大規模な攻撃継続を背景に、米国のルビオ国務長官に対し、米国人および外交官の同地からの退避を指示した。クレムリンは攻撃を継続する方針を示しており、外国人に対する即時退避を促す声明を公表した。

通話はプーチン大統領の要請により行われ、ロシアはキエフの施設および関連する「意思決定機関」に対し、体系的かつ一貫した攻撃を実施中だと説明した。モスクワは、ロシア占領下のルハンスク地域で大学がウクライナ軍のドローン攻撃を受け21人の学生が死亡したことへの報復だと位置づけている。これに対し、ウクライナ軍総司令部はスターボリスクでロシア軍ドローン部隊の司令部を攻撃したと主張し、民間施設への攻撃を否定した。週末から日曜朝にかけて行われた一連の攻撃では、音速の10倍で飛行し核弾頭搭載能力を持つとされるオレシュニク巡航ミサイルも使用され、ショッピングセンターなどの建物が損壊し4人が死亡した。激しい砲撃にもかかわらず、キエフの住民は月曜日には通常の生活に戻り、4年以上の戦争により感覚が麻痺してきたとする声も聞かれた。米国務省は通話を確認し、両者はウクライナ情勢に加え、二国間関係やイランの状況についても意見交換したと発表した。

ロシアは系統的な報復攻撃を継続する方針を表明しており、外交官の退避要請と首都への継続的な爆撃は、キエフの治安悪化と外交関係者の安全リスクがさらに高まっていることを示している。長期化する紛争は市民生活への甚大な影響を拡大させ、国際社会の懸念を深める結果となっている。

台湾、米国の対台政策不変を確認し国防強化へ…国際文学賞も史上初受賞

台湾の林佳龍外相は、トランプ米大統領と習近平国家主席の会談後、米国が対台湾政策に変更がないことを再確認したと明らかにした。同時に、台湾は陸海空および全領域の防衛力強化に向けて、自走榴弾砲や高機動ロケット砲システム(HIMARS)、対戦車ミサイルなどの導入を加速させている。また、中国軍の脅威に対し、原発施設へのドローン攻撃への備えも強化している。

防衛部の顧立雄相は立法委員会の会議で、対中共同作戦への対応として精密打撃能力の向上が不可欠だと指摘。2026年度予算案に基づき、既存の防空網とAI支援システムを統合し、非対称戦力と消耗戦能力の向上を図ると表明した。一方、原子力安全委員会は、米国とイスラエルのイランに対する戦争に伴うアラブ首長国連邦の原発火災を踏まえ、年次訓練にドローン攻撃対応策を組み込むと説明し、地域情勢の緊迫化を背景とした警戒を強めている。

国際舞台でも台湾の声は確かな存在感を放っている。台湾の作家、楊双子氏による小説『臺灣漫遊録』(英題:Taiwan Travelogue)が、英国で授与される権威ある「国際ブッカー賞」を受賞した。訳者の金翎氏は、作品が台湾の多様な声と民主主義の活力を世界に伝え、一国が国家を代表して語らなければならない重荷を背負わせない文学のあり方を示したと語った。

米中両国の地政学的な対立が深まる中、台湾は外交・国防・文化の各分野で独自の回復力を示している。軍事面での備えを強化すると同時に、文学を通じて民主主義の価値を世界に発信する取り組みは、外部の圧力や孤立感に屈しない台湾の姿勢を如実に表している。国際社会における台湾の存在感は、政治的枠組みを超えて着実に広がりつつある。

経済 (Economy)

スターバックス韓国「タンク・デー」キャンペーン反発、シンセゲ会長が直接謝罪し売上急落

韓国で展開中のコーヒーチェーン「スターバックス・コリア」が光州民主化運動の記念日に合わせた販促キャンペーンを実施したことが、歴史的な経緯を無視した内容として大きな反発を呼び、販売元であるシンセゲ(新世界)グループのChung Yong-jin会長が記者会見で直接謝罪に追い込まれた。キャンペーン開始から8日後の火曜日、Chung会長は「市民の心を傷つけた事実には重い責任がある。言い訳はしない。全ての責任は私にある」と表明し、組織と経営陣、そして自分自身に責任が集中していると明確にした。

5月18日に開始された同キャンペーンは、タンク関連の販促品を用い、警察の尋問記録を連想させる文言が含まれていたとして批判された。シンセゲグループのJeon Sangjin上級執行役員は記者会見で、マーケティング担当者が意図的に民主化運動を揶揄した証拠は現時点で確認されていないと指摘したものの、内部調査によりリスク管理体制に重大な欠陥があったと認めた。営業重視の姿勢から法務審査を跳过ぎたと説明され、スターバックス・コリアの責任者も先週解任された。シンセゲ傘下のE-Martが67.5%、シンガポールの主権基金GICが32.5%を出資する運営会社SCK Companyの経営陣が、最終承認を権限委譲した形で進めた経緯も明らかになった。

この事件はビジネス面でも甚大な影響を及ぼしている。シンセゲグループの公式発表によれば、キャンペーン開始以降、同チェーンの売上は「極めて顕著な減少」を記録。株価も一時下落したが、その後は反発して上昇した。Yoon Ho-jung内相は政府行事での製品使用停止を表明し、Lee Jae Myung大統領もキャンペーンを「非人道的で歴史否定行為」と厳しく批判した。与党民主党の報道担当者はChung会長の謝罪を誠実だと評価しつつ、再発防止を約束している。消費者の反発は依然強く、警察調査の行方と企業の再建策が今後の焦点となる。

人工知能開発企業Alt元執行役員ら、決算粉飾で有罪判決

東京地方裁判所は月曜日、日本の人工知能(AI)開発企業Altの元執行役員2名に対し、金融商品取引法違反(決算粉飾)の罪で有罪判決を言い渡した。虚偽の売上高は計約110億円に上り、上場を不当に承認させたとして厳罰が下された。

判決によると、元執行役員の浅井勝也氏(46)と元財務・経理部長の有泉隆之氏(53)にそれぞれ懲役3年(執行猶予5年)が言い渡された。企業自体には3億円の過料が科された。宮田昌司裁判官は「粉飾率が極めて高く、承認されるはずのない上場を実現させた」と指摘し、不正が市場に与えた影響の大きさを強調した。両被告は犯罪において重要かつ不可欠な役割を果たしたが、指示を受ける立場しかなかったため執行猶予が適用された。2024年9月、同社の元社長らと共謀し、2022年1月から2024年6月までの売上を約84億円水増しした証券報告書を提出。2025年3月には、2024年度の売上を約49億円水増しした報告書を提出していた。

会計不祥事の発覚を受け、同社は民事再生法の申請を経て2025年8月に上場廃止となった。裁判官は不正が市場に与えた影響の大きさを指摘しており、今回の判決は上場企業における財務開示の厳格な遵守を求めている。

米イラン、ホルムズ海峡再開に向けた協議進行/原油相場急落とエネルギー転換の課題

米イラン両国がホルムズ海峡の再開と交戦状態の終結に向けた協議を進めているとの報じを受け、国際原油相場が急落した。合意が成立すれば、30日以内に海峡の機雷掃討が行われ、各国船舶の航行が再開される見通しだ。

報道によれば、米イランは4月上旬に合意した停戦を60日間延長し、その期間中に核プログラムに関する交渉を行う。具体的には、イランの濃縮ウランの扱いや米国制裁の解除、資産凍結解除が段階的に実施される。また、レバノンの戦線も含め、イランはイスラエルによるヒズボラ攻撃の停止を、イスラエルはヒズボラの武装解除をそれぞれ条件としている。交渉の成否はイランの最高指導者アーヤトッラー・モジャッバ・ハメネイ氏の承認が鍵を握るとされる。トランプ米大統領は、代表に対して「合意を急ぐな」と指示し、イランの濃縮ウランを米国に引き渡すか、国際目視のもとで破壊するよう求めている。一方、イラン外務省のスポークスマンは、主要論点で結論が出ているとしつつも、署名が近々行われるとは断言できないと述べた。

協議の報じを受け、26日(現地時間)の米原油先物は6.1%下落し、1バレル90.73ドルとなった。この間、米国中央軍はイラン南部のミサイル施設や機雷敷設を試みる船舶に対し、自衛のための打撃を加えていると発表しており、4月8日に始まった停戦の試練は依然として脆弱な状態が続いている。

海峡の閉鎖と紛争は、エネルギー市場やグローバルサプライチェーンに広範な影響を及ぼしている。化石燃料がプラスチックや化学製品の原料として不可欠であるため、供給遮断は消費財や製造業にまで波及し、一部地域では食料価格や物流コストの上昇が観測されている。この地政学的リスクは「化石プレミアム」と呼ばれる経済的負担を生み出し、自動車ディーラーや家庭において再生可能エネルギーや電気自動車への関心を高めている。長期的には、気候変動対策だけでなく地政学的不安定性へのヘッジとしてクリーンエネルギー投資が加速する一方、開発途上国などはエネルギー安全保障とコストの両立に苦慮する複雑な課題を抱えている。

スリランカ中銀が100bp利上げで物価安定図る、中東紛争が新興国経済を直撃

スリランカ中央銀行は26日、政策金利を年7.75%から8.75%へと100ベーシスポイント引き上げると発表した。同国は輸入燃料への依存度が高く、イランをめぐる中東の紛争激化に伴うエネルギー価格の高騰とルピーの下落により、インフレ圧力が強まっている。中央銀行のP・ナンダル・ウィエラシンヘ総裁は、利上げが為替相場と物価の安定化に寄与すると説明した。

同国の年間の消費者物価上昇率は3月の2.2%から前月比5.4%へ急伸した。エネルギー価格の高騰は燃料価格を40%押し上げ、配給制の導入など生活に直撃している。2022年の金融危機から回復途上にあるスリランカ経済は、中東情勢による打撃で成長率が低下する見通しだ。国際通貨基金(IMF)の支援プログラムに基づく7億ドルの資金供与について、理事会が今後決定する。また、インドの都市ガス会社(IGL)は過去2週間以内に4度目となる天然ガス価格の2ルピー/kg引き上げを通告し、石油販売各社もガソリンと軽油の価格を約2.6〜2.7ルピー/リットル上昇させた。日本銀行も4月の中核消費者物価指数(一時要因を除く)が2.8%となり、2%の目標を超過したと発表した。

中東における軍事衝突とホルムズ海峡を巡る供給網の混乱は、原油価格の高騰と資本流出を通じて新興国経済にスタグフレーションのリスクを強めている。エネルギー輸入依存度の高い国々は為替防御と物価安定の両立に苦慮しており、各国中央銀行が金融引き締め路線へ転換する動きが相次いでいる。グローバルなエネルギー市場の動向が、各国の経済政策と家計の負担に長期にわたる影響を及ぼすことが懸念される。

韓国中央銀行が政策据え置き、イラン戦争のインフレ圧力とプライベートデット監視強化で金融市場が転換期へ

韓国中央銀行が政策金利を据え置く見通しとなる中、イラン戦争に起因するインフレ圧力や海外プライベートデットの急増を背景に、金融当局の監視強化が加速している。一方で、地政学的変動をうけて西側市場からの投資先多様化が進み、中央アジアや中東資本の流入が新たな経済の軸となっている。

韓国金融監督院(FSS)は、国内年金基金と銀行の海外プライベートデット投資残高が2023年末の16.3兆ウォンから2月末時点で55.3%増の25.4兆ウォンに膨張したと明らかにした。当局はグローバルな規制の目が厳しくなる中、流動性リスクは管理可能な水準にあると評価しているが、米国や欧州への暴露が大半を占める実態を踏まえ、監視を強化する。専門家は、イラン戦争によるエネルギー価格の高騰(原油価格が約3ヶ月連続で1バレル100ドル超)とウォン安が輸入インフレを加速させ、4月のインフレ率は2.6%と目標の2.0%を大きく上回ったと指摘する。韓国中央銀行は28日の金融政策決定会合で政策金利を2.50%で据え置く見通しだが、専門家の大多数は第3四半期から年末にかけての利上げを予想している。半導体輸出の好調が成長を支える中、成長率見通しの上方修正も利上げ材料となる。

グローバルな資本動向においても転換期を迎えている。PEファンド「Templewater」の会長Cliff Zhang Kun氏は、地政学的リスクを踏まえ西側市場への依存を減らし、新興経済圏へ投資をシフトする必要性を強調。同氏は早月、香港行政長官率いる代表団と共にカザフスタンとウズベキスタンを訪問し、不動産、エネルギー転換、医療分野での協力を具体化する予定だ。中東資本を新興市場へ誘導する「スーパーコネクター」としての役割を担い、インフラと技術への需要増を見込む。また、スポーツ面では、韓国代表ミッドフィールダーのHwang In-beomが足首の怪我から回復し、Hong Myung-bo監督率いる26人のワールドカップメンバーに選出された。48チーム制の初開催となる本大会では、メキシコ、南アフリカ、チェコと対戦し、国内に歓喜をもたらすことを誓っている。

金融機関と投資家は、金利動向の転換と規制強化というマクロ環境の変化に対応しながら、リスク管理と戦略的資産配分の再構築を迫られている。地政学リスクと通貨・インフレ動向を注視し、持続可能な資本循環の構築が経済の安定を左右する鍵となる。

中国ロボット企業IPO直前に減益、ナイジェリア銀行は収益拡大もコスト増で純利益減少

2026年4月、中国のヒューマノイドロボット企業ユニットリー・ロボティクスとナイジェリアのフィデリティ銀行がそれぞれ四半期決算および経営陣の人事を発表した。ユニットリーはIPO審査を控えても四半期純利が大幅に減益に転じ、フィデリティ銀行は収益は拡大したものの資金コストと信用リスクの増大で純利益が押し下げられる結果となった。

フィデリティ銀行の四半期純収益は前年比37.9%増の4,349億ナイラを記録した。特に利子収益が20.3%増の3,533億ナイラと堅調に推移したが、資金調達コストが90.3%と急増したため、純利子は前年比の1,908億ナイラから1,808億ナイラへ減少した。また、信用情勢の悪化により貸倒引当金が364.7%増の292億ナイラに跳ね上がり、税引前利益は1,058億ナイラから925億ナイラへ、最終純利益も911億ナイラから745億ナイラへ下落した。総資産は前年12月末比で11.4兆ナイラに拡大した。同銀行は2026年5月22日付でジョナサン・オソスアクポル博士を非執行取締役として任命し、中央銀行の承認を得て証券取引委員会などにも報告した。会社秘書のエズィンワ・ウニグボジェが発表した声明では、同氏の40年以上にわたる金融サービス業界での経験が銀行の戦略目標達成に寄与すると期待されている。

一方、中国のユニットリー・ロボティクスは四半期売上高が前年比68%増の4億2,280万元と急成長したものの、経常利益は前年比52%減の4,030万元へと急落した。同社は研究開発費と販売費の大幅な増加を減益の主な要因と説明している。また、2025年の爆発的な成長を基盤とした高い収益ベースに加え、競争の激化やヒューマノイドロボットへの市場熱の冷め具合も影響している。上海証券取引所は6月1日、同社のIPO申請を審査する予定であり、同社は42億元の資金調達でロボット本体開発や製造施設拡充を図る計画だ。

これらの決算発表は、ハイテク産業と金融セクターがそれぞれ成長の加速とコスト・リスク管理の狭間で苦闘している現状を浮き彫りにする。ユニットリーの場合、汎用ロボットの商業化が停滞したり短期リース市場が弱体化したりした場合、成長と利益率にさらなる圧力がかかる可能性がある。フィデリティ銀行も、収益拡大の一方で資金コストと不良債権処理負担が収益を圧迫しており、両社とも持続可能な収益構造の確立と市場環境の変化への対応が今後の課題となる。

シンガポール:ゲントン高原の道路料金導入とERPレート改定、交通管理と観光政策に波及

シンガポールでは、ゲントン高原へのアクセス道路における車両別料金の導入と、電子道路料金(ERP)システムの改定が相次いで発表された。Lingkaran Cekap Sdn Bhd(LCSB)が認可するゲントン高原道路の通行料は5月28日より施行され、車両種別に応じて課金される。同時に陸上交通庁(LTA)は6月29日より主要地点のERP料金を引き上げ、交通渋滞の緩和と維持管理コストの適正化を図る方針を示している。

ゲントン高原道路の新しい料金体系では、乗用車や小型バンが1回5リンギ、中型トラックが15リンギ、大型トラックが25リンギ、タクシーが3.30リンギ、バスが5リンギとなる。緊急車両やオートバイ、山頂の政府機関に勤務する公務員は免税対象となる。LCSBは、24kmの私有道路である同道路の維持費が1960年代から急増しており、重度の摩耗による安全確保のため、車両課金が最も持続可能な方法だと説明している。また、6月28日には恒久居住者向けに優遇制度が開始され、標準料金より10%割引または6ヶ月間の無制限通行パスが利用可能になる。マレーシアのマスラム副公共事業相は11月17日、課金が地元住民や日常利用者を不当に課税すべきでないと指摘し、過度な高額化が観光客の訪問意欲を減退させる可能性があると警告している。

交通政策面では、LTAが4月に監視した高速道路の渋滞を踏まえ、6月29日より2地点でERP料金を1シンガポールドル引き上げる。特定時間帯には最大5シンガポールドルに達する。6月2日から28日までは学校の長期休暇に合わせて6地点で割引が適用され、29日以降は通常料金が復活する。オーチャード地区は2020年4月以降料金徴収が停止されていたが、2025年10月以降の速度低下が懸念され、LTAは同地区のERP運用再開を次の四半期に検討中であると発表した。一方、観光・飲食分野では、ラフィールズホテルの屋外バー「ラフィールズ・コートヤード」が6月1日よりペット同伴を解禁し、新メニューや週間プロモーションを展開している。

これらの施策は、シンガポールの交通管理と観光インフラの維持に直結する。車両課金とERP改定により、道路の維持管理費負担が適正化され、渋滞緩和による都市機能の効率化が期待される。一方で、課金額の高額化や通行制限が観光客の訪問数や地元住民の生活に与える影響が注視されている。LTAやLCSBは交通状況の推移を継続的に監視し、必要に応じて料率や運用ルールの再調整を行う方針であり、シンガポールの都市交通政策がどのように収束していくかが焦点となる。

社会 (Society)

香港、初の上記「非常に暑い天気」警報発令~経済再編、住宅政策、法執行の動向を総合的に検証

香港気象台は2日午前7時45分、今年初めての「非常に暑い天気」警報を発令した。最高気温は33度から35度に達すると予測され、高気圧の配置により金曜日まで猛暑が続く見込みである。気象当局は熱中症や日焼けのリスクを警告し、水分補給や激しい運動の自粛を呼びかけている。この猛暑は気候変動の影響も示唆しており、香港は産業革命以降1.7度温暖化しているとされる。

経済・インフラ面では、中国移動国際のケヴィン・チャン・キンファン顧客事業部長が中央アジアと香港を結ぶ海底ケーブル網の新たな接続計画を明らかにした。香港は海底ケーブル着岸局と国際データ交換センターの高密度を有し、中東諸国や世界とのデータ伝送効率向上を目指す。同時に、HSBC香港CEOのメグ・ン氏は香港の人口750万人に相当する顧客数を目標とし、国際投資家の誘致で金融ハブとしての地位を強化する方針を示した。香港空港管理局は第2ターミナルの再開と「11 Skies」商業施設の2028年以降の再オープンを目指すが、地域競争の激化や地政学的緊張が課題となっている。

社会・法執行面では、住宅問題が依然として重要な課題である。宗教団体代表のピーター・ダグラス・クーン・ホー・ミン氏(Reverend Canon)は、政治的懸案が解消された今、香港の課題は全て生活問題であると指摘。政府は2027年までに分割された住宅の基準認証を完了させ、「基本的住宅ユニット」へと名称変更する方針だが、入居待ちの長期化や立ち退き問題が依然として残る。また、法務部は国家安全法で指名手配中の活動家フランシス・ホイ氏による刑事訴訟部新部長アンソニー・チャウ氏の誹謗中傷を「悪意のある捏造」と断じ、警察への事件移管を表明した。一方、シンガポールでは香港の学校校長が生徒の修学旅行先で警備員に暴言を吐いたとして当局が調査に乗り、学校側が謝罪している。インド南部タミル・ナドゥ州では、与党TVK政権の治安悪化を巡り、野党指導者のウダイヤニディ・スタリン氏とエダッパディ・K・パラニスワミ氏が激しく批判を浴びせている。

これらの動向は、香港が気候リスク、経済構造の再編、住宅・法執行の課題を同時に処理しつつ、国際的な信頼と安定を維持しようとする姿勢を浮き彫りにしている。猛暑や社会的不安への対応、そして経済インフラの整備が、今後の都市の持続可能性と国際競争力に直接影響を与えるものと見られる。

家庭の経済負担軽減と社会規範の再定義~豪州の電気料金引き下げ、シンガポールの住宅販売ルール改正、インドの裁判所判決

2026年4月現在、各国で家庭の経済的負担軽減と社会・法制度の再編が進展している。豪州では再生可能エネルギーと蓄電池の普及により電力卸売価格が下落し、消費者向けデフォルト市場提供価格が最大10%引き下げられることとなった。一方、シンガポールでは住宅開発局(HDB)が新ルールに基づく初の執行可能コンドミニアム(EC)の土地入札を発表し、新規購入者への優先枠拡大と最低居住期間の延長が市場動向に影響を与えている。さらにインドでは、ボンベイ高裁が夫婦関係を「等価なパートナーシップ」と位置付け、妻を家事労働者として扱うことは違法との判決を下した。

豪州エネルギー規制機関(AER)のクラレ・サヴィッジ委員長は、卸市場の安定化と再生可能エネルギー容量の拡大が需給調整を円滑化し、夜間のピーク需要時のガスや水力発電への依存度を低下させたと説明する。ニューサウスウェールズ州では最大7.7%、クイーンズランド州南東部では10.7%、南オーストラリア州では1.1%の料金引き下げが適用され、小規模事業者では最大20.9%の削減が見込まれる。シンガポール側では、キャンベラ・ドライブ地区の土地約1万1535平方メートルが販売対象となり、最大185戸の建設が可能だ。新規則により最低居住期間(MOP)が5年から10年に延長され、新規購入者への割り当て割合が90%に引き上げられた。アナリストは、開発業者が新規需要の変化を慎重に見極めるため、入札価格が過去の入札例を下回る傾向になると予測している。インドの裁判所は、2002年の結婚を機に夫側が「精神的苦痛」を理由に離婚を請求していたケースにおいて、家事不履行を過大解釈して虐待と見なすことはできず、通常の意見の相違や初期の調整期間を法的手続きで拡大解釈するべきではないとの見解を示した。高裁は家族裁判所の判決を破棄し、妻に月2万ルピーの扶養料の支払いを命じた。

これらの動きは、エネルギーコストの安定化、住宅市場の構造的調整、そして家庭内における役割分担の法的不平等是正という、現代社会が直面する経済的・社会的課題への対応を示している。消費者と小規模事業者の負担軽減、新規購入者への住宅供給優先、そして婚姻関係における対等性の法的保障は、いずれも家庭の持続可能性と社会全体の安定強化に寄与するものと分析される。

交通機関運転手の対応が注目:中国でタクシー運転手の優しさが拡散、香港でバス運転手が逮捕、インドで自動車の運転手(オートリクシャ)がサービス継続

世界各地の交通関連記事から、タクシー、路線バス、自動車の運転手(オートリクシャ)が乗客に対して見せた異なる対応と行動が注目されている。中国では幼い男児の乗車費を免除するタクシー運転手の優しさが動画で広く称賛され、香港では路線バスと作業車両の衝突事故でKMBバス運転手が危険運転の疑いで逮捕された。さらにインドでは、乗客への無料サービスや安全配慮で長年評判の自動車の運転手(オートリクシャ)がその取り組みを続けている。

中国・貴州省遵義市で5月17日午後、約10歳の少年が一人でタクシーに乗車した際、渋滞に巻き込まれ不安を感じて母親に電話をかけた。車載カメラの映像によると、運賃は9.4元(約1.3米ドル)に達していたが、少年は所持金が10元しかなかった。タクシー運転手は少年に運賃を免除し、金銭が足りない際のコミュニケーション方法を指導した。国家メディアCCTVが報じたこの動画はSNSで120万回以上の「いいね」を集め、タクシー運転手の行動が広く称賛された。

香港では5月25日午後2時頃、荃湾公路でKMBの二階建てバス(960系統)と点検車両が衝突する事故が発生した。バスは屯門方面へ向かう途中、点灯した矢印表示付きの作業車両に追突し、さらに2台目の作業車両に衝突して停止した。事故により21人の乗客が軽傷を負い、KMBバス運転手も首や腰、脚を負傷した。警察は39歳の運転手を危険運転の疑いで逮捕し、KMBは運転手を職務停止の上、警察の調査に協力すると発表した。

インド・ムンバイでは、自動車の運転手(オートリクシャ)であるSatyawan Gite氏が乗客への細やかなサービスで知られている。車内には浄化水、洗面台、充電器、扇風機、ゴミ箱、爪切りが設置され、砂糖飴とピーナッツが無料で提供されている。1km以内の移動には運賃を免除している。長年の運行により、俳優や外国人観光客からも感謝の手紙や称賛が寄せられ、3冊の日記にその内容が記録されている。特に女性乗客については正しい降車場所への到着を徹底し、追加料金を請求しない方針を貫いている。

各記事に登場する交通機関の運転手たちは、単なる移動手段の提供を超え、乗客の安全や心理的負担に寄り添う姿勢を示している。中国のタクシー運転手の寛容な対応やインドの自動車の運転手(オートリクシャ)の長期的なサービス向上は、社会における公共交通の役割を再考させるきっかけとなっている。一方で、香港の事故は路線バスの運行管理や道路安全に対する課題を浮き彫りにし、業界全体での安全対策の強化が求められている。これらの出来事は、交通事業者が乗客との信頼関係をいかに構築し維持するかという普遍的な課題を提示している。

南アフリカ、飢餓と栄養失調の深刻化 所得格差と食料価格高騰が国民の生存権を脅かす

南アフリカ共和国で飢餓と栄養失調が深刻な危機に直面している。2026年の世界飢餓の日を前に国連の推計によると、国内の栄養不足人口の割合は2006年から2024年の間に3.3%から10%へと3倍に増加した。憲法が食料への権利を保障しているにもかかわらず、人口の過半数が食料不安に直面しており、その背景には世界有数の所得格差と、サプライチェーンの構造的な問題による食料価格の高騰がある。

世界銀行や国内調査によれば、国内の総人口6,000万人のうち1,820万人が1日1.90ドル未満の極度の貧困状態で生活し、1,100万人が食料貧困ライン(月額855ランド)以下の生活を強いられている。ジェニ係数は0.63に達し、上位10%が総財富の71%から85%を保有する一方で、下位50%の保有率はわずか4%から7%に留まる。食料価格の高騰も深刻で、基本食料カゴの価格は2021年から33%上昇し、長期的なサプライチェーンや大手小売企業の市場支配力が価格上昇を助長している。特に、輸入農産物への依存度が高く、気候変動や地政学的リスクが直接価格に転嫁される構造が問題視されている。

栄養失調の実態も顕著だ。年間1,000人以上の子供が栄養失調で死亡し、5歳未満児の28.8%が成長阻害に苦しむ。州別のデータを見ると、西ケープ州は食事の多様性スコアが全国最高(5.37)であるものの、国連の合成報告書によれば成長阻害率は46.4%に達し、食料へのアクセスと栄養価の確保が必ずしも一致していない実態が浮き彫りになっている。北西州では世帯の81.9%が食料不安に直面し、リムポポ州では飢餓率は低いものの35.9%が低栄養な食事内容に留まるなど、地域ごとに格差と課題が複雑に絡み合っている。

政府の対応にも課題が残る。2018年から2023年にかけての国家食料・栄養安全保障計画は期限を迎えても後継策が策定されず、関連協議会の会議も未開会である。専門家は、社会福祉給付金の食料貧困ラインへの引き上げ、妊婦支援給付や基礎的所得保障の導入、必須食品の価格凍結や競争法違反の厳格な取り締まり、中小企業の参入促進などを提言している。ラマポサ大統領は2026年2月の教書演説で2030年までの子供成長阻害撲滅を宣言したが、財政制約と構造的な市場構造の変革なしに目標達成は困難との指摘も強い。

南アフリカの食料危機は単なる一時的な価格変動ではなく、長年にわたる政策の遅れと経済構造の歪みが招いた恒常的な社会問題である。所得向上と食料価格安定の両輪による系統的な介入が不可欠であり、憲法が定める食料への権利を実現できなければ、栄養失調の世代間連鎖は解消されず、国家の社会経済的安定も揺らぎ続けるだろう。

科学・技術 (Science & Tech)

NVIDIA、AIエージェント市場へ本格参入 台湾本社開設でアジア戦略を強化

半導体大手NVIDIAは直近の四半期売上高が過去最高となる816億ドルを記録したと発表し、来期は910億ドルの売上を予測した。同社のジェンセン・ホァン最高経営責任者(CEO)は収益説明会において、人工知能(AI)エージェントやロボット技術に対応した新CPU「Vera」の登場により、従来未曾有の2000億ドル規模の新たな総利用可能市場(TAM)が創出されると見通しを示した。同時に、台北市内での台湾本社プロジェクトの起工式典および従業員懇親会への参加を計画しており、AIハードウェア分野における戦略的拡大を加速させる。

ホァンCEOによれば、AIモデルの学習や推論はGPUが担う一方、自律型AIエージェントの実行にはCPUが不可欠であり、従来のクラウドCPUとは根本的に異なるアーキテクチャが求められている。NVIDIAはVeraをAIエージェント向けに最適化し、主要な超大規模クラウド事業者やシステムビルダーとの連携を進めている。同CEOは今年だけでスタンドアローン型のVera CPUで200億ドルの受注を達成したと明かした。この発表は、IntelやAMDに加え、Amazon Web ServicesやGoogleも自社AIプロセッサの開発を加速させる中、NVIDIAが競合他社との競争を優位に進めるための対抗策として位置づけられている。

台北では、NVIDIAが北投士林科技园区に計画する台湾本社の従業員集会へホァンCEOが出席する。台北市長の蔣萬安氏も同席し、AI開発を支えるエネルギー政策の枠組み整備の重要性を指摘した。建設許可の申請は完了していないものの、起工式典は執り行われる予定であり、来週開催される国際見本市「Computex Taipei」では、Marvell TechnologyのCEOマット・マーフィー氏と基調講演を行い、次世代AIインフラ構築における連携のあり方を議論する。

NVIDIAのVera CPU発表と台湾現地での活動は、AIエージェント時代への移行において半導体サプライチェーンの再編が進行中であることを示している。競合他社が独自シリコンの開発を推し進める中、NVIDIAがCPUとGPUの統合戦略で市場を牽引する姿勢は、次世代AI基盤の標準化を加速させ、グローバルな技術覇権争いの行方を左右する重要な転換点となる。

スポーツ (Sports)

国際スポーツ動向:イランW杯チームのメキシコ受け入れ、クドゥス選手の代表辞退、台湾テコンドーの総合優勝

複数の国際スポーツ関連の動きが報じられている。メキシコはイランのワールドカップ(W杯)チームの受け入れを承認し、トッテナム・ホットスパー所属のモハメド・クドゥス選手が負傷によりガーナ代表のW杯出場を回避することとなった。また、米俳優のクリスト・フェルナンデスが米国プロサッカーチームと契約を結び、台湾女子テコンドーチームがアジア選手権で優勝し、秋季開催のナゴヤアジア大会への出場枠を確保した。

メキシコ大統領のクラウディア・シェンバウム氏は月曜日、W杯の練習拠点が米国からメキシコへ移動した件について、自国での受け入れに何の問題もないと表明した。イランサッカー連盟が直近で発表し、月曜日に国際サッカー連盟(FIFA)が正式に確認した移動先は、カリフォルニア州サンディエゴの南に位置するティフアナである。シェンバウム氏によると、FIFA代表から米国内での宿泊に消極的な意向を伝えられ、メキシコでの宿泊を打診されたという。背景には、2月28日に米国とイスラエルが開始したとされるイランでの戦争が挙げられている。イラン代表は6月15日にカリフォルニア州イングルウッドでニュージーランドと、6日後にはベルギーと対戦し、6月26日にはシアトルでエジプトと試合を行う予定だ。

ガーナ代表のW杯メンバー選考では、トッテナム・ホットスパーに所属するフォワードのモハメド・クドゥス選手が負傷により出場を辞退することが決まった。カルロス・ケイロス監督は火曜日、28人の予備登録メンバーを発表したが、クドゥス選手は1月に大腿四頭筋を負傷し、3月の復帰が期待されていたものの回復に遅れ、トーマス・フランク監督がトッテナムを指揮して以来、公式戦出場から遠ざかっている。クドゥス選手は今季、プレミアリーグで19試合に出場し2得点を挙げている。ケイロス監督はマンチェスター・シティのアントワーヌ・セメンヨやアスレチコ・ビルバオのイナキ・ウィリアムズらに期待を寄せ、2023年以来となるアブドゥル・ラフマーン・巴巴の招集も決定した。ガーナはクロアチア、イングランド、パナマと組まれるL組での戦いとなる。

北米サッカー界では、人気ドラマ『テッド・ラッソ』でダニ・ロハスを演じるメキシコ出身の俳優、クリスト・フェルナンデス(35)が、米国2部リーグのUSLチャンピオンシップに所属するエル・パソ・ロコモーティヴFCと契約を結んだ。フェルナンデス氏はBBCの取材に対し、プロサッカー選手としてプレーすることが夢が叶ったと喜び、サッカーは人生だという同作の名台詞は自身の発案であると明かした。

アジアでは、台湾女子テコンドーチームがモンゴルで開催されたアジアテコンドー選手権で団体総合優勝を果たした。王潔凌と張雋恩が金メダルを獲得し、劉雨芸が銀、林緯惀が銅メダルを獲得した。張選手は中国の羅宗詩世界選手権金メダリストを2対1で破るなど、圧勝を収めた。スー・タイユアン監督は選手たちの冷静な戦いぶりを称賛し、昨年から規律の再構築と競争力向上に注力してきた成果だと述べた。この活躍により、9月に日本ナゴヤで開催されるアジア競技大会への出場枠を全額確保した。男子チームは出場枠の確定を待っている。

これらの動きは、国際スポーツ界において地理的・政治的要因が選手の活動や代表チーム編成に直接影響を与えている現状を示している。W杯を控えた各国代表の戦力整備や、俳優からプロ選手への転向、そしてテコンドー界における伝統的な強国からの台頭は、各競技の今後の動向を占う重要な指標となるだろう。