ドナルド・トランプ米大統領は、イランとの和平交渉について交渉担当者に「急ぐな」と指示し、ホルムズ海峡におけるイラン船籍の封鎖は合意が締結・認証・署名されるまで継続すると表明した。米メディアの報道によれば、協議では60日間の休戦延長、海峡の開放、およびイランの核問題に関する追加交渉が含まれるとされる。トランプ氏は自身の交渉がオバマ前政権の合意の「真逆」になると強調し、党内の強硬派からの批判を退けた。これにより、2月28日に始まった米国の軍事行動とイランへの報復攻撃を経て、4月初旬に発効した脆弱な休戦状態が維持されるかどうかが焦点となっている。
交渉の行方は複雑な地政学的背景を孕んでいる。中国の指導部は直近でトランプ氏とロシア大統領のプーチン氏との相次ぐ会談を実現し、米露中による流動的な三角関係において北京が中核的な役割を演じようとしている。米中首脳会談では、中国側が日本の防衛力強化を「再軍備」として強く批判したと報じられている。これに対しトランプ氏は、中国指導部の批判を支持し、高市早苗首相の立場を擁護したとされる。台湾側では、米台間の兵器売却が中東情勢を理由に一時見送られたものの、両政府は対話チャネルの維持を強調している。
イラン側は、交渉の焦点は核問題ではなく戦争終結にあると主張している。イラン外務省のバガエイ報道官は、米国が合意を履行する保証がないと指摘しつつ、海峡の管理権は沿岸国にあると述べた。パキスタンが仲介役として機能しており、ヒズボラとの関連するレバノンの情勢も交渉の文脈に含まれている。一方、米国内ではトランプ氏の対イラン強硬策が原油価格の上昇を招き、共和党内部から強硬派議員による批判が噴出している。
交渉の遅延は国際市場に不確実性をもたらしている。原油価格は変動を続けており、ホルムズ海峡の完全な通航再開には2027年にかけても時間がかかるとの見方が示されている。各国の外交努力が合意に結びつくか否かは、中東の安定だけでなく、米国の国内政治や欧亚大陸の勢力図にも大きな影響を及ぼすことになる。