イスラエル政府は21日、地中海で海軍により拿捕されたガザ行きの人道支援船団「グローバル・スムード・フリート」に参加していた約430人の外国人活動家をすべて国外追放したと発表した。イスラエルの極右・国家安全保障大臣イタマル・ベン・グヴィル氏が、拘束された活動家たちを挑発する動画をSNSに投稿したことが発端となり、各国から強い非難と外相級会談の要請が相次いでいる。
同船団は50隻以上の船からなり、40か国以上から約430人が参加してキプロス沖の国際水域で迎撃された。活動家たちはアシュドッド港やネゲフのクツィオット刑務所に収容され、手錠をかけられた状態で床に伏せさせられたり、背後で手を縛られたりした。ベン・グヴィル大臣は、膝をつかせられた活動家たちを囲んでイスラエル国旗を振りながら挑発する動画を投稿。運輸大臣のミリ・レゲヴ氏も同様のキャンペーン風動画を投稿し、拘束現場の映像が世界中に拡散された。
権利団体「アダラ」によると、活動家らは拘束中に殴打され、少なくとも2人が病院に搬送された。一部の活動家は足に鎖を付けられ、手錠で拘束されたままアテネ経由で帰国させられた。イスラエル政府は外交問題の拡大を避けるため、南部ラモン空港やテルアビブのベン・グリオン空港から迅速に追放手続きを進めた。トルコはチャーター便を派遣し、スペイン、アイルランド、イタリアなどの市民も帰国した。
英国、フランス、カナダ、スペイン、オランダ、ポーランド、イタリアなど複数の国がイスラエル大使を召喚し、人権侵害と尊厳の侵害を非難した。イタリアのタジャーニ外相はEUによるベン・グヴィル氏への制裁を要請し、米国駐イスラエル大使も「国家の尊厳を裏切った」と批判した。イスラエル側では、ネタニヤフ首相が「イスラエルの価値観や規範に合致しない」と非難し、サーア外相やヘルツォグ大統領も動画を強く批判。政府は公式声明で「この動画は政府の方針を代表するものではない」と説明した。
イスラエル政府は同船団をハマスに利用された「宣伝工作」と一蹴し、ガザへの合法的な海上封鎖を破ることを許容しないと改めて表明した。一方で、動画の拡散はイスラエルの対外広報を崩壊させ、国際社会での孤立を深める結果となった。活動家の追放は完了したが、ガザ封鎖の継続と抑留者の扱いを巡る国際的な視線は、今後さらに厳しくなると見られる。