カリフォルニア州オークランド連邦裁判所で開かれたイーロン・マスク世界最富裕層の原告によるOpenAIおよびサム・アルトマンCEOらへの訴訟について、陪審団が一斉に被告側を支持する結論を出した。陪審団は約2時間の評議を経て、2024年2月に提訴された今回の訴訟が法定の訴求時効期間を過ぎていると認定。裁判官はこの裁定を受け、訴えを即時却下する判決を宣告した。
マスク氏は非営利目的で設立されたOpenAIが営利構造へ転換した過程を巡り、アルトマン氏や同社プレジデントのグレグ・ブロックマン氏に対し「慈善活動の横領」などの主張を行い、1500億ドルの損害賠償や役職解任を求めていた。Microsoftも関与を疑われ共同被告とされていたが、陪審団は時効超過という同一の法的根拠に基づき全ての請求を退けた。公判では両陣営のトップ責任者が証言台に立ち、過去の内線通信記録などが精査された結果、マスク氏が訴訟時効の起算日である2021年8月時点ですでに事実関係を把握していたと判断されるに至った。
裁判所は慈善信託違反の是非そのものには踏み込まず、あくまで手続き上の時効問題のみで争点を整理した形だ。OpenAI側の弁護士は、2017年時点で資金調達のため営利部門の設置を検討していた経緯や、マスク氏自身が約1年半前に営利系AI企業xAIを立ち上げていた事実を指摘し、本訴訟が実質的な競合他社への牽制工作であったとの見解を提示した。
本判決はOpenAIにとって千億ドル規模の上場準備を妨げられることなく推進できる確固たる基盤となり、Microsoftとの百億ドル単位の資本提携も継続する道筋が付いた。AI業界における技術開発と市場競争の枠組みは現状維持となる一方、陪審員の人間性に基づく判断を尊重した司法手続きの厳格な運用が、ハイテク産業の動向に直接的な影響を与えた事例として注目されている。