日曜日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ郊外にあるバーカ原子力発電所を巡り、ドローンによる攻撃を受けて発電機付近で火災が発生した。当局は被害者の発生や放射能漏れのリスクはないと明らかにしたが、米国とイランの間で脆弱な休戦状態が続く中での同原発への波及は、地域情勢の新たな緊張を招いている。
アブダビ当局によると、アル・ザフラー地域における同原発の外周部から進入したドローンが電気設備に衝突し、火災を引き起こしたとされる。UAEの原子力規制当局は全基が通常通り稼働しており、安全基準に影響がないと強調。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長も深刻な懸念を表明し、核施設の安全を脅かす軍事活動は容認できないと非難した。
直ちに責任を表明する勢力は出なかったものの、嫌疑はイランに向けられている。イランは先月28日の米イスラエルによる本土攻撃以降、地域全体へ報復攻撃を展開。同国はUAEが自軍の基地提供や対イスラエル関連利益を認めると警告しており、実際には鉄のドーム防空システムと部隊が展開されていると米国の外交官は指摘している。一方、UAE国防省はイランの主張を否定し、領土防衛のための対応権を明確に留保した。米トランプ大統領は交渉停滞を受け、敵対行動の再燃を示唆しており、レバノンにおけるイスラエルとヒズボラの交戦激化もあって、停戦合意は揺らぎ続けている。
今回発生した火災は、世界石油・天然ガスの五分の一流通に関わるホルムズ海峡の封鎖問題や、湾岸諸国のエネルギー供給網に対する脅威として捉えられている。UAE外務省はこれを国際法および国連憲章の明白な違反だと断じ、いかなる敵対行為にも対抗する権利を有すると宣言した。核施設をめぐる一連の事象は、緩やかな休戦枠組みの実効性を試すものとなっており、地域全体の安定維持に向けた外交努力の行方が問われている。