概要
アラブ首長国連邦(UAE)産業・先端技術相兼ADNOC会長スルタン・アル=ジャバー氏は、イランがホルムズ海峡の航行を制限しようとする動きを強く非難し、同海峡は国際法に基づく自由航行が保証された国際水路であると主張した。2月28日以降、同海峡では少なくとも22隻の船舶が攻撃され、10名の船員が死亡、約2万名の船員が安全に通過できずに停滞しているという深刻な事態が続いている。
経緯
2024年2月28日以降、イランがホルムズ海峡への通行を「条件付き」にし、実質的に封鎖に近い行為を取ったことを受け、UAEは国際社会に対し、海峡の航行自由を確保すべく即時の行動を求めた。同時期、米国のドナルド・トランプ前大統領は米海軍による海峡封鎖を示唆し、イランへの圧力を強める姿勢を示したが、法的根拠は不透明である。
解説
スルタン・アル=ジャバー氏は、ホルムズ海峡は「自然の海峡であり、国連海洋法条約により航行の自由が保障されている」ことを指摘し、イランが課す通行許可や料金は「事実上の封鎖であり、国際法に反する」と述べた。さらに、同海峡を経由する原油輸送は世界エネルギー供給の約20%を占め、同海峡が閉鎖されれば世界的なエネルギー価格が急騰し、特にアジア諸国の食料・エネルギー安全保障に深刻な影響を及ぼすと警告した。
米国側の封鎖宣言は、イランの核交渉不調を背景にした「圧力政策」の一環と見られ、国際法上の航行の自由に対する直接的な侵害の懸念が指摘されている。欧州連合(EU)やロシアは外交的解決を呼び掛け、ロシア大統領は仲介姿勢を表明したが、具体的な調整策は提示されていない。
影響
1. エネルギー市場への影響:海峡封鎖が長期化すれば、原油価格は一時的に10%以上上昇し、輸入依存度の高い日本を含むアジア諸国のエネルギーコストが上昇する恐れがある。
2. 国際航行の安全性:海峡での軍事的緊張が高まることで、商船の保険料が上昇し、航行リスクが増大する。
3. 地域安全保障:イランと米国・UAEとの対立がエスカレートすれば、ペルシャ湾全域に波及し、周辺国の安全保障政策に影響を与える可能性がある。
UAEは、国際海事機関(IMO)や国連安全保障理事会を通じて、イランに対し「航行の自由は不可侵の原則である」ことを再確認するよう求め、同時に多国間の海上警備協力体制の強化を提案している。日本政府は、米国・UAEと連携し、海上保安の国際協調体制を検討中であることを表明した。